肩関節周囲炎(五十肩)
肩関節の種類
・肩甲上腕関節
(上腕二頭筋、回旋筋、三角筋、大胸筋、広背筋、大円筋、烏口腕筋)
・肩峰上腕関節
・胸鎖関節
・肩甲胸郭関節
(肩甲上腕リズム、前鋸筋、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、小胸筋、鎖骨下筋)
・肩鎖関節
(外側四辺形間隙)…上腕骨・上腕三頭筋長頭・大円筋・小円筋からなるスペースを
外側四辺形間隙(外側腋窩隙)と呼び、三角筋と小円筋を支配する腋窩神経が通る。
病態
・上腕二頭筋長頭腱炎
肩関節の屈曲、外転、外旋で肩に疼痛が見られる。
スピードテストやヤーガソンテストが陽性。
・肩峰下滑液包炎
外転時に腱板が肩峰と大結節に挟まれ、烏口肩峰靭帯に圧迫される。
→脊柱後湾が増強すると起きやすい。
・肩関節腱板炎
炎症が肩峰下滑液包だけでなく、腱板にまで波及することによる。
・石灰沈着性腱板炎
腱板の血行不良部位にピロリン酸カルシウムが沈着して石灰化し、
急性炎症症状を呈し、拍動性の安静時疼痛をきたす。
ステロイド注射を行って消炎を図ります。
・五十肩
段階別
①freezing phase:
安静時や夜間の疼痛が出現
②frozen phase
①の疼痛が徐々に軽減するが、ROMが制限される。
③thawing phase:
疼痛はほぼ消失し、ROMが回復していく
・烏口突起炎
上腕二頭筋短頭、烏口腕筋、小胸筋、烏口肩峰、烏口鎖骨、烏口上腕靭帯が付着し、
烏口突起炎の単独発症は少ない。
・肩関節拘縮
軟部組織の伸張性低下や持続的な筋収縮により、ROM制限を呈する。
パンピング療法やヴァイトブレヒトにより、ROMを改善する。
ブロック注射を用いることが多い。
評価と治療
・疼痛部位の評価
(圧迫部位、整形外科テスト〔「ストレスとテスト、インピンジメント症候群【ニア―徴候、ホーキンス徴候、ペインフルアーク徴候】後方インピンジメントテスト、ダウバーン徴候、初期外転テスト、エンプティカンテスト、肩関節下垂位外旋テスト、45゜拳上外旋テスト、ガーバーリフトオフテスト〕、腱板機能評価、肩甲胸郭安定性評価(MMTテスト。ROM評価)、モビライゼーション、姿勢評価、動作分析
治療
・肩関節回旋筋に対するアプローチ
・肩関節胸郭関節に対するアプローチ
・体幹に対するアプローチ
・肘関節・前腕に対するアプローチ
・肩甲上腕関節周囲炎に対するダイレクトストレッチ